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71.敦煌にて |
2004年9月16日高知新聞掲載 |
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高知龍馬空港から直航のチャーター便で「シルクロード5日間の旅」に来ています。
今いるのは古代シルクロードの要衝、世界遺産の莫高窟(ばっこうくつ)で有名な敦煌です。井上靖の同名の小説でも知られています。井上靖は敦煌を見ずにこの名作を書いたといわれますが、小説と実際の敦煌に違和感は全くありません。
今回のチャーター便は高知から約4,000キロ、新疆ウイグル自治区のウルムチまで約5時間のフライトでした。数年前まで北京経由で2日かかったり、途中飛行機が遅れたりで、苦労の末にたどり着いた記憶ばかり残るウルムチです。出発日の午前10時ごろ、高知空港の売店で週刊誌を物色していた自分が、同じ日の夕方、まだ日差しの強烈なウルムチ市内を歩いているのが何とも不思議な感覚でした。
井上靖が初めて敦煌を訪れたのは1978年です。当時は敦煌に空港がなく、東京を出発し、北京、蘭州、酒泉を経由して5日もかかっています。古代シルクロードの時代のソグド人は、始点の西安(長安)から終点のローマまで、長いときは片道5年の旅をしたそうです。
そんなことを思うと、「楽をして申し訳ありません」と、つい先人の誰かにおわびしたい心境になります。
敦煌は周囲を砂漠に囲まれた人口15万人ほどのオアシス都市です。ホテルの窓から、街路樹の多い町並みのかなたに金色に輝く大砂丘が見えます。敦煌のシンボルで標高1,700メートル、面積が800平方キロもある砂の山、鳴沙山(めいささん)です。ここにはシルクロードの時代から変わらない景色があります。 |
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72.新疆時間 |
2004年9月30日高知新聞掲載 |
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新疆ウイグル自治区の中心都市ウルムチはすっかり変貌(へんぼう)していました。この数年で人口の集中と町の拡大が加速し、高層ビルの立ち並ぶ清潔感のある近代都市になり、シルクロードの玄関とは思えない雰囲気です。
5つ星の高層ホテルに泊まり、隣接したファミリーレストラン風の店で一杯飲みながら現地ガイド氏と打ち合わせをしました。
以前なら露天の屋台でシシカバブーを片手に裸電球の下でというところですが、名物の屋台も至る所で見られたロバ車もほぼ無くなってしまったようです。屋台の代わりがそのレストラン。中心メニューは相変わらず羊肉を金串(かなぐし)に刺して焼いたシシカバブーでした。
レストランは夜の12時近くでも大勢の人でにぎわっています。と言うのも、中国は東西の広さを考えれば国内に最低3時間程度の時差が欲しいところですが、あえて同じ時間でやっています。
しかしながら、新疆では実際の生活に合わせた“新疆時間”で暮らしています。標準時間より2時間遅いようです。ですから、昼食は標準時間の14時、夕食は20時ごろといった調子で、深夜12時はまだ10時。レストランにも家族連れや若者の姿が多いわけです。
土地柄から人種もさまざまですが、漢民族も少数系民族の人たちも近年服装が同じようになり、見分けがつきません。ガイド氏に小声で聞くと、カザフ族、ウイグル、回族(かいぞく)などと教えてくれます。
「ところで私は何人に見えます?」と尋ねてみました。これまでは必ずモンゴル族か朝鮮族と言われたので同じような答えを予想していると、今回はなんと「回族」。回族はイスラム教を信仰する少数民族です。 |
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73.楽しい待ち時間 |
2004年10月7日高知新聞掲載 |
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トルコ、ギリシャの旅に行ってきました。利用したのは成田空港発着のトルコ航空です。
アジア系や中東系の航空会社は「機体が古い」「遅延が多い」「機内サービスに問題がある」などと言われてきたのですが、最近は違います。トルコ航空は2000年1月にイスタンブール新空港がオープンしたのに合わせて新たに55機の航空機を発注し、徐々に就航中ということです。全部が就航したら世界で最も所有機材が新しい航空会社になると自慢していました。
新空港は規模が大きく機能的です。帰国時の乗り継ぎに数時間の待ち時間があったのですが、空港内がショッピングセンターのようになっていて、免税店はもちろん、フードセンターやブランド店が充実していて退屈しません。イギリスのパブのような作りの、“飲み助”なら何時間でも過ごせそうな店までそろっています。
関空や成田は空港の建物自体にはレストランも多いのですが、出国したあとは免税店と軽食スタンドのような設備しかありません。
その点、このイスタンブール空港やソウルの仁川空港、シンガポール空港など最新設備の空港は、中に入ってからもさまざまに楽しみながら時間つぶしができるようになっています。以前は椅子(いす)に座って待つだけだった時間を有意義に使えるというわけです。
これまでは旅行のスケジュールを組むとき、空港での時間待ちを極力少なくするのが常識でした。これからは、「○○空港で乗り継ぎ時間を2時間ぐらいとってほしい」というような希望が出てきてもおかしくありません。
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74.五輪その後 |
2004年10月14日高知新聞掲載 |
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オリンピックが終わったばかり、パラリンピックを開催中のアテネに行きました。
オリンピック開催に向けて国を挙げて道路網の整備や施設の充実を図った成果がはっきりと見えていて、特に空港や空港から市内へのアクセスは、以前がどんなだったかを思い出せないほどの快適さです。
市内はオリンピックの余韻(よいん)がいまだに残るにぎわいです。パルテノン神殿のあるアクロポリスの丘は観光客の列が途切れることがありません。
観光ツアーお決まりの土産物店に入ると、ここでもまだオリンピック関係グッズが売られていました。いつものことですが、オリンピックの文字やマークが付いただけで通常の2倍か3倍と思えるような値段です。帽子やTシャツなどが売られていますが、キーホルダーが1,000円以上だったりして、この機会に稼げるだけ稼ごうという魂胆が見え見えです。
日本人店員に「オリンピックが終わったら、普通は値段が下がるんじゃないですか?」と尋ねると、「オフィシャルな料金ですので。詳しくは店長に聞いてください」と、いかにも打ち合わせ済みのような返事が返ってきました。
東京オリンピックを振り返るまでもなく、開発途上の国でオリンピックが開催されると、都市は飛躍的に整備され国には勢いがつきます。そして、その代償のように物価が上昇します。
そこで気になるのは4年後の北京オリンピックです。現在、他の国と比べてお買い得な価格で楽しめる隣国ですが、オリンピック後どうなるかは未知数です。私の周りでは、とりあえず中国旅行はオリンピックまでの4年間にということで一致しています。 |
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75.ウィーンの青年 |
2004年10月21日高知新聞掲載 |
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アテネの次にオーストリアのウィーンを訪れました。ウィーンは歴史的な建築物が集中する旧市街を歩くのが最大の魅力なので、午前中バスで観光し、午後は自由行動というのがパターンです。
気持ちの良い秋晴れの一日、自由行動のスタートは一番の繁華街で歩行者天国のケルントナー通りです。アイスクリームのスタンドやヨーロッパおなじみの路上のカフェ、パフォーマー(大道芸人)たちもあちこちに見られ、観光客や買い物客でいっぱいです。
「疲れたので冷たい物でも飲んで座りたい」というお客さんがあり、カフェに座りました。カフェでウインナコーヒーなど飲みながら、行き交う人々をウオッチングするのもヨーロッパらしい時間の過ごし方の一つです。
カフェでは3人の従業員が忙しそうに働いており、その1人に東洋系の青年がいました。長身で、すし屋の職人のような短髪、切れ長の目で爽(さわ)やかな立ち居振る舞いが、どう見ても日本人風です。
飲み物をお代わりするときルーツを尋ねてみました。果たして、父親はオーストリア人で母親が日本人とのこと。
「日本へは1回行ったけど何県かはわからない。小さいころは母親が日本語で話しかけてくれたけど、ドイツ語で答えていたので、今は日本語は理解できない。学生でアルバイトをしている」
などと話してくれました。
ヨーロッパを旅行する日本の若者を多く見かけますが、おおむね無国籍風で個性がない感じです。ところが彼は、見かけは現代的で笑顔を絶やさない好青年ですが、少し前の日本人のような毅然(きぜん)とした独特のムードを持っています。日本人の母親の教育や後ろ姿が良かったのでしょうか。「これからも頑張れ」という気持ちでいっぱいになりました。 |
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(株)高知新聞企業(高知新聞観光)
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