添乗員つれづれのーと
1〜5 / 6〜10 / 11 / 12 / 13 / 14 / 15 / 16〜20 / 21〜25 / 26〜30
31〜35 / 36〜40 / 41〜45 / 46〜50 / 51〜55 / 56〜60 / 61〜65 / 66〜70
71〜75 / 76〜80 / 81〜85 / 86〜90 / 91〜96

   
  11.3カ国語の境界 2003年6月12日高知新聞掲載  
スイス人たち  山岳美の国スイスは、ほかにもいろいろな面をもっています。金融、保険、重工業など盛んで世界でトップクラス。観光収入がなくても経済面で困ることはないほどです。
 また永世中立国としても有名ですが、現地で説明を聞いて意外な顔をされる方が多いのは、徴兵制があるということです。平和なはずのスイスでなぜ、という疑問ですが、陸続きの国境を持つ小国。その歴史から、年齢の達したすべての男性は訓練を受け、突然の招集に備えて各家庭で武器を保管しています。
 親しくなったドライバーにその武器で事件が起こったことはないか、とたずねたことがありますが、ノーという返事でした。今でもその答えに少し疑いを持っています。
 スイスのバスの移動は実に快適です。ドイツから続くアウトバーンは料金のかからない高速道路。車窓には白銀の山々や湖などが次々と展開します。天気さえよければ景色を見ているだけで幸せな気持ちです。
 スイスの公用語はドイツ語、フランス語、イタリア語です。ドイツ語圏が一番広いのですが、国境がフランスに面した地域ではフランス語です。その境がどうなっているか興味がありました。ある時、バスの中から道路標識を眺めていて発見しました。
 ユングフラウ方面からレマン湖方面に向かう途中、大きくもない川を越えると高速道路の出口の表示がドイツ語からフランス語の表示に変わります。その後、このコースを走るたびに「もう少し行くと出口の表示がフランス語表示に変わります」と、説明するのが私のおはこです。
 このような生活環境なので、スイス人は英語を含めて3カ国語くらいは話します。日本に住んでいると3カ国語を話すと聞くと、ものすごく勉強をした人、という印象を受けますが、この環境で育てば自然に身に付くということでしょう。
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  12.フランス風サンド 2003年6月19日高知新聞掲載  
サンドイッチ  旅の楽しみの一つは「食」です。日本食以外はちょっと・・・という方もいらっしゃいますが、観光客のよく行くレストランは、過去に日本人に好評だったメニューを中心に用意します。何料理がおいしいか、と聞かれますが、国内にレストランのある外国料理は、やはり日本人の口に合うから経営が成り立っているのです。
 しかし、「これまで何が一番おいしかったか」という質問には、少し意地悪いのですが、「やっと帰国して食べる日本食」などと答えたりします。人間はだれでも生まれ育った国の料理が最終的には一番のようです。
 過去に食べ物と日程変更の絡んだ、印象に残るヨーロッパ旅行がありました。無事、日程を終えパリからドイツのフランクフルト乗り換えの航空機で帰るという時に悪い知らせです。
 航空管制官がストをやっていて、影響が残って出発が2、3時間遅れる可能性があるというのです。2時間遅れると、乗り継ぎができなくなるので、検討した末に二十数人は早朝、バスでフランクフルト空港に向かうことになりました。
 直行しても7時間はかかる道のりです。途中、昼食時になりました。場所も時間もないので、仕方なくサービスエリアのような場所で食料を求めました。
 長いフランスパンを2つに割って中にバターを塗りトマト、ハム、レタスなどを挟んだ「フランス風サンドイッチ」です。これを走るバスの中で食べてもらいました。
 帰国後に集まった時、このパンがおいしかった、という声が聞かれました。内容そのほかを吟味した各国の名物料理より、パンの話です。「ボリュームがあって、とても全部は無理と思ったけれど平らげてしまった」。「高知市内を回って材料を集めて作ってみたが、あの味は出なかった」。などなどです。思いがけない土産になりました。
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  13.日本食は紅しょうが? 2003年6月26日高知新聞掲載  
お寿司と紅生姜  ヨーロッパの1つの国を回っている時など3、4日も現地料理が続くと、そろそろ日本食をということになります。どんなおいしい料理でも、日ごろ変化に富んだ食事をしている私たち日本人は飽きてくるからでしょう。
 日本料理店も多くなってきましたが、ヨーロッパの田舎町にはない場合があります。でも中国料理店は必ずありますので、これを夕食に採り入れるとまた数日は現地料理で大丈夫です。
 そんなことから、薄味の日本食と味のはっきりした中華料理はかなり近い関係にあると思っていました。ところが、日本食と中国料理の味覚の違いを感じたことがありました。
 中国の旅行は普通、空港到着から帰国時の空港まで同じ現地ガイドが同行します。その時のツアーに付いたのは若い男性でした。参加者の中に体調を崩した方がいたりしてかなり働いてもらいました。
 旅の最後の上海で、お世話になったお礼に日本食をごちそうすることになりました。彼は日本語は驚くほど上手なのに日本食は初めてです。食事後に2、3の質問をしたいから黙って食べてということで刺し身、てんぷら、すしなどをセットで注文しました。
 食事が終わり、「おいしかったものを順番に言ってほしい」と言うと、ものすごく困って、「どれも味がないのでわかりません」、との返事です。日ごろ味の濃い中国料理を食べているので味が分からないようです。
 こちらも引くに引かれず、中国料理と日本料理の味の違いを知りたいのでどれか1つでも挙げてほしい、と粘りました。彼がようやく指さしたのは、すしに付いてきた紅しょうがでした。10年前の出来事です。最近は日本食が大好きという中国の人も多くなってきました。
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  14.砂漠で「じゃこ」広げ 2003年7月3日高知新聞掲載  
シルクロード  中国には56の少数民族がいるといわれます。合計すると人口は日本人とほぼ同じだそうです。この人たちは中央部にも住んでいますが、周辺部に多く住んでいて独自の文化を継承しています。
 例を挙げれば、内蒙古のモンゴル族、雲南省のサニ族、ミヤオ族、チベット高原のチベット族などです。旅行先としても人気がありますが、ウイグル族やカザフ族の住む西域と呼ばれる地域は、ある年齢層にとってあこがれの地です。新疆ウイグル自治区に含まれ、シルクロードとしてよく知られています。
 果てしないタクラマカン砂漠を車で走ると、玄奘三蔵の苦難の道や楼蘭王国の伝説、騎馬民族の興亡など往古の時代がよみがえります。
 ある時、砂漠をマイクロバスで走っていて昼食時間がきました。観光客用の施設などは皆無です。オアシスの村で、テーブルが砂でザラザラしているような大衆食堂に入りました。現地ガイドがその場で注文するのです。中国の食事はおいしいものばかりですが、さすがに新疆では口に合うものが少なくなります。
 ここで添乗員の出番です。奥地の旅行の時は普通、缶詰、ふりかけなどを準備していたりします。この時は高知からじゃことポン酢を持っていました。変色した皿を借りて、じゃこを広げていると、現地の人たちがのぞきにきます。
 「なにを食べているのか」と、尋ねているとガイドが言うので、「海の魚」と答えました。でも、まだ大きな声で何か言っています。もう一度通訳してもらうと、「そんなはずはない、海は砂漠のように大きいから大きな魚がいる。こんな小さな魚はいない」と言っているとのこと。
 一生海を見ることのない人たちが住んでいる地域です。通訳の言葉もウイグル語で、北京から同行してきたガイドは理解できません。
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  15.砂漠で突然の増水 2003年7月10日高知新聞掲載  
砂漠  シルクロードなど辺境といわれる地域の旅行は、日常とまったく違う世界に入り込む楽しさがあり、思いがけない景色や人々に出会う驚きがあります。しかし、交通の便が良くなったといっても取り巻く環境の厳しさは昔のままです。で、時としてハプニングに遭います。
 中国のシルクロード地域は主に砂漠地帯です。でも歌に出てくる「月の砂漠」や映画の「アラビアのロレンス」のような砂漠は少なく、「ゴビたん」と呼ばれ小石がごろごろしていて、ラクダ草が生えています。日本の感覚では荒地というほうが適当な感じの土地が大部分です。
 この「ゴビたん」がくせ者で、表面は泥を長期間日干しにしたように硬くなっています。雨が降ると「砂漠が水を吸い込む」という表現とは全く逆。雨はコンクリートに降ったように、低い所へ向かって一直線です。
 雨の少ない地域ですが、時には短時間豪雨のように降ります。その水が一気に流れ込むと文字どおりあっと言う間に川が増水します。日ごろは水量の少ない川なので頼りない橋しか架かっていません。で、橋が流れたり橋げたが傾いたりして通行止めです。
 そのような場面に2、3度遭遇しました。こうなると現地ガイドや添乗員はお手上げ。う回路も連絡方法もなく、水の引くのを待ちながら修復作業をできる範囲で手伝いながら見守るだけです。
 3、4時間もすると水も引いてきて作業の効果もあり、めでたく開通です。深夜になったこともあります。
 しかし、このようなハプニングは旅行者にとって決していやな思い出ではないようです。「少数民族と漢民族が一緒になって作業を進めるのを見たのが印象深かった」と何人もの方から聞きました。
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